無農薬・無化学肥料で、田んぼの生きものと共生して育った「自然循環栽培のお米」 宮城県田尻産ひとめぼれ 白米・玄米・胚芽米。
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「自然循環栽培のお米」 ひとめぼれ お米作りの一年

米作りと田んぼの生きものが大好きな人たち

小野寺さん一家
▲左から、小野寺ひかるさん、小野寺皇貴さん、
小野寺實彦さん、小野寺良子さん

仙台空港から北へ自動車で一時間。宮城県大崎市田尻には、見渡す限りの広々とした田んぼが広がります。

この田尻で、「自然循環栽培のお米」のお米づくりに励むのが、雁音農産の小野寺實彦さん。小野寺さんたちの話の中で出てくるのは、いつも田んぼの生きものの話。目が輝きます。

小野寺さんの息子の皇貴さんは、奥さんのひかるさんと共に小野寺さんの後を継いで、米づくりに励んでいます。「僕らは、後継者だから後を継いだんではないんです。2人とも、農業が好きだから継いだんです。それに、無農薬は特別なことではないんです」 。
「もし、父さんが無農薬栽培をしなくても、僕らは無農薬の米づくりをしていたでしょうね。僕らは、無農薬だからこんなに体に良いとか、環境にいいとか、そういうことを伝えたい訳ではないんです」 。
「しいて言うならば、『俺の米を食ってけろ』ですかね。それで気に入っていただいた方に末永く食べてもらいたい。だから、めちゃくちゃおいしいお米よりも、毎日食べていてうまい米を作りたいと思っています」 。
「毎日食べる物に農薬を使うのは、ちょっとどうかしらと思うでしょ?だから、無農薬でつくるんです」 。

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蕪栗沼に響き渡る雁の羽音

蕪栗沼から飛び立つ雁
▲冬の早朝、蕪栗沼から雁が一斉に飛び立ちます

収穫を迎え始めるころ、最初の雁、初雁がやってきます。雁は遥かシベリアから4000kmもの距離を渡ります。飛行能力に優れ、時速100kmで10時間不眠不休で飛び続けることができると言われています。渡ってきた雁は沼をねぐらとし、田んぼに菜食に訪れます。

田んぼに飛来した雁は、落穂をついばみながら田んぼをヨチヨチと歩き回ります。雁にとって最も重要なエネルギー源が落穂で、食事の4割を占めます。その他、イネ科の植物や雑草を食べて過ごしています。警戒心の強い雁は、収穫が早く見晴らしの良いコンバイン刈りの田んぼを好んで採食地にして、のんびりと過ごしています。逆に天日乾燥の田んぼや未収穫の田んぼ、山間や山林に近い田んぼにはあまり近寄りません。 未収穫の稲や天日乾燥中の稲を食害するとして、昔から農家に嫌われてきた雁ですが、コンバインの普及によってその被害はほとんどなくなりました。被害があった場合は、そのほとんどが今はカモによるものだそうです。

マガンは、日本に最も多く飛来する雁です。一時期、絶滅寸前まで数が減り、1971年に国の天然記念物に指定されました。当時は5000羽まで減りましたが、現在は保護活動により10万羽まで回復しました。しかし、越冬地の数はほとんど変わらず、日本に渡って来る雁の実に9割以上が宮城県北部のごく限られた場所でのみ越冬しています。

蕪栗沼にやって来る雁の数は、多い時には7万羽以上にもなり、日本有数の雁の越冬地となりました。これほどの雁が集まるようになるとは、一体誰が予想できたでしょうか。

蕪栗沼 蕪栗沼の夕焼け
▲蕪栗沼は水鳥や動植物の貴重な生息地 ▲蕪栗沼の夕焼け
田んぼで食べものを探す雁 田んぼに舞い降りた白鳥
▲雪が積もる田んぼで餌を探す雁 ▲水を張った田んぼで休む白鳥

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まだまだ寒い冬から、お米作りは始まります

そんな中、まだまだ寒いうちから稲づくりが始まります。3月はじめに行われる最初の作業は、中身の詰まっている種モミと軽い種モミを塩水で選別する「塩水選」。
塩水に浮いてくる中身の軽い種モミは、苗の出来もよくありませんし、病気にかかっている場合もあるのです。冷たい水に手を浸けての作業です。

その後、すぐに種もみを水ですすぎ、塩気をとった後行うのが「温湯消毒」。種モミを60℃のお湯に5分間浸すことによって、殺菌を行います。慣行栽培では、種モミの消毒に薬剤を使うのですが、小野寺さんの稲づくりは農薬を使いませんのでこのような方法で殺菌します。
あまり長い時間お湯に浸すと種モミもダメージを受けてしまうので、時間を慎重に計りながら、時間が来たものはすぐに冷水に浸します。冷水に浸された種モミは、氷が張る冷たい水の中で、4月の種まきまで静かに眠り、気温や水温の上昇によって少しづつ目を覚ましてゆきます。

塩水選 温湯消毒
▲塩水選により、中身の詰まった種もみを選ぶ ▲薬剤ではなく熱で殺菌する温湯消毒
浸種 催芽
▲寒い間からずっと種もみを水に浸す ▲眠っていた種もみを目覚めさせる催芽

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いよいよ春 大忙しの種まきと大切な育苗

桜の花が咲く頃。いよいよ、種まきが始まります。家族総出で、時には助っ人の手も借りて、種まきを行います。長方形の育苗箱に播種機という機械で蒔いていきます。ベルトコンベアでつながれた播種機の横に人がずらっと並んで、育苗箱をセットする人、土や種モミを入れる人、育苗箱をビニールハウスに並べる人と分担して作業を行います。
まさに、猫の手も借りたいほどの大忙しです。朝から夕方まで、2日がかりで種まきを終えます。作業が終わる頃には、ビニールハウスに整然と育苗箱が並びます。ちゃんと蒔いたタネが順調に発芽してくれるか。ベテラン農家でも心配です。

その後の温度にもよりますが、3〜4日もすると育苗箱の中からかわいい芽が出てきます。本当に小さな芽です。2日、4日、1週間、10日と日々苗は、生長していきます。葉っぱが2枚から3枚出るころになると、苗は水の中で育てられます。
これは、プール育苗と呼ばれる方法で、苗を水の中で育てることにより、苗の根張りが良くなって田植え後の生育がスムーズになったり、病気にかかりにくくなったりと、小野寺さんや小野寺さんの仲間達が勉強しながら広げている方法です。

苗は、40〜45日もの間、葉っぱが4〜5枚出るまでゆっくりと育てられます。苗半作といわれるように、太くて丈夫な苗を作ることが、田植え後の稲の生育にとても重要なのです。

種まき 育苗箱に播かれる種もみ
▲種まきは、大忙し!家族・ご近所の助けが必要 ▲播種量は、120g/箱以下の薄まきで行う
育苗箱が並ぶビニールハウス 出芽
▲育苗箱は、すぐにビニールハウスに並べられる ▲芽が出てきました
プール育苗 田植え直前の苗
▲水の中で苗を育てるプール育苗を行う ▲根がびっしりと張っている田植え直前の苗

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田植え 最初は、さびしい姿ですが・・・

5月中ごろ、いよいよ田植えです。今日は、どこどこの田んぼまで田植えするぞと計画を立て、育苗ハウスから苗を軽トラックに積んで、田んぼまで運びます。田んぼの中では、苗を植えつけながら田植え機が往復しているので、田植え機が戻ってくるたびに、苗を育苗箱から取り外し、田植え機にセットします。
田植え機の操作、これが結構難しいのです。なかなかまっすぐにはいけません。近くばかり見ていると、よろよろした苗筋になってしまいます。

水が入った田んぼには、もう生きもの達がやってきています。田植え機から逃げるように、カエルが泳ぎ、クモが畦に避難します。畦には、緑の草が生えて、もうすっかり暖かくなったことを感じさせてくれます。

小野寺さんの田んぼは、他の田んぼと比べて田植え後の姿は何ともさびしい感じがします。他の田んぼは、青々としているのに、小野寺さんの田んぼは苗がまばらなのです。これは、あえて植え付け本数を少なくするからです。大体1株当たり3本位。
5本も10本も植えつけると、確かに見栄えはいいのですが、込み合っているだけ、日光を浴びることできなくなりますし、根を充分に伸ばすことができなくなります。
すると、大きくなっても茎が細い稲となり、日が当たらない部分は、病気が出やすくなり、農薬を使わないといけなくなるのです。

温かくなった田んぼでは、今後強くなっていく日差しを存分に浴びて稲が大きくなっていきます。夏の日差しを浴びて、雑草に負けない元気な稲は、お盆頃になると穂を出し、次の生命を育てるために、懸命に日光を浴び、養分を穂へ送ります 。

田植え 田植え後の田んぼ
▲浅く耕しただけの田んぼに植えます ▲遠くからだと、苗を植えているのが分かりません
7月初旬の稲 7月初旬慣行田の稲
▲7月初旬の私たちの稲 隙間だらけ ▲7月初旬の慣行田 ずいぶんと稲が混み合う
出穂 田んぼの風景
▲お盆頃の午前 一斉に稲が開花します ▲風に揺られる若い稲穂 

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夏の田んぼは、大賑わい 小さな生きものにも大人気の田んぼです

小野寺さんの田んぼでは、有機質肥料が起点となり田植え後の田んぼは、無数のミジンコで溢れかえります。それこそ数え切れません。でも、この小さなミジンコが田んぼの生命を支えるのです。田んぼに産卵したカエルは、ミジンコにオタマジャクシの生命を託します。しかし、オタマジャクシもまたより大きな生きものの糧となります。そのようにして、田んぼのなかでは、両生類、爬虫類、昆虫、鳥類など様々な生命がめぐっているのです。

様々な生命がめぐることで、田んぼには特定の生きものだけが大発生するということにはならないのです。多様な生命こそが田んぼの豊かさの証です。もちろん、稲に被害を及ぼす害虫と呼ばれる虫も発生します。しかし、それを食べる生き物もいますので、特定の虫が稲に大きな被害を与えることはないのです。むしろ、農薬を使ってしまうと、殺されるのは害虫だけではないので、それを食べる虫も死んでしまい、やがて、害虫が大発生するということになりかねないのです。

小野寺さんの田んぼでは無農薬が目標ではなく、また手段でもありません。田んぼの生きものとの共生を目指した稲づくりをおこなっていたら、自然とこのようになっていったのです。

捕獲された生き物 クローバーの花
▲田んぼの生きものを集めてみました ▲あぜに咲く、クローバーの花
生き物の説明 小さな貝
▲園児を集めて田んぼの生き物の説明 ▲貝殻が透き通るようなとってもきれいな貝
バンのヒナ アカガエル
▲田んぼにあった鳥の巣から孵ったバンのヒナ ▲あぜで見つけたアカガエル
イナゴとクモ ガムシ
▲イナゴとクモが稲穂の上でばったりと ▲ゲンゴロウではなく、ガムシの成虫
ダルマガエル トンボのカップル
▲丸々と太って大きくなったダルマガエル ▲トンボのカップル

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自然に感謝の収穫 そして、今年も雁が戻って来た

いよいよ収穫です。たわわに稔った穂が刈り取られていきます。
コンバインでどんどん刈り取っていきます。冷夏の年は、人間がどれだけ頑張っても充分な稔りはないし、温かい年は、だまっていても豊作になります。

どれだけ頑張っても、人間のできることはたかが知れている。稲づくりをしていると人間の小ささと、自然の偉大さを感じずにはいられません。 人間を温かく見守ってくれる自然、時には台風や冷害などをもたらす自然、人間にはどうにもならない領域に足を踏み入れる稲づくりは、だからこそ神聖な仕事なのです。

収穫の作業は、新米の出荷も重なり、一年の中でも一番忙しい時期で、まさに目も回るほどです。稲が倒伏していないか、コンバインや乾燥機の清掃と確認など収穫の準備から始まり、収穫されたお米は、急いで乾燥機へ運ばれて保存に適するように水分が調整されます。乾燥されたお米は、30kgの大きな紙袋に入れられ、農産物検査にまわされます。検査を受けてはじめて、お米の表示が出来るのです。検査を受けたお米は、鮮度を保つため低温倉庫で保管されます。

収穫が終わった田んぼには、今年も雁がやってきます。 雁は、落穂を拾ってこの地で冬を越します。カエルは土にもぐり、温かくなるのをじっと待ちます。小さな虫が産卵した卵も、春になると一斉に目覚めます。お米を作ることは、様々な生命と一体なのです。この光景が、これからもずっとずっと、ずっと続きますように。

登熟 収穫
▲たわわに稔った稲穂 ▲コンバインで一気に刈り取ります
雁の飛来 田んぼに飛んできた雁
▲今年も収穫と共に雁が戻って来ました ▲稲穂をついばむ雁の群れ

                                                      

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